2011年07月21-22日
北アルプス 槍ヶ岳  (3,180m)
                    Movieはこちら ⇒ 槍ヶ岳 でご覧ください
クリックで拡大  【コースデーター】
到着/出発 標 高
上高地 8:40 1,515m
横尾 1130/12:30 1,614m
槍沢ロッジ(泊) 15:30/7:30 1,,814m
天狗原分岐 10:40
2,348m
播隆窟 12:30/13:20 2,693m
槍ヶ岳山荘(泊) 15:30/6:30
3,082m
槍ヶ岳 7:10
3,180m
槍沢ロッジ 12:20/13:00
1,,814m
上高地 17:50 1,515m

 大型の台風が東よりに外れるのが確実になった7/20日、まだ雨が降る深夜の中央道を上高地に向かった。
今回は、41年ぶりの槍ヶ岳.。 選んだコースは上高地から槍沢を登るルートで、標高差1700m、片道22km(往復45km)の長丁場である。日頃の運動不足からくる体力の衰えに一抹の不安を感じているものの・・・久々に気分は弾んでいる。
 沢渡の駐車場で仮眠し、バスで上高地に向かう。  途中土砂崩れで数日道路閉鎖された場所を通過したが、崩壊の爪跡が痛々しい。
上高地に着くと、台風明けのためか登山者は少なく、この時期としては珍しく静かな朝である。岳沢を見上げると、穂高の稜線にはまだ台風の名残のようなガスが貼りついているが、東の空の明るさは今日の好天を予感させる。
 準備を済ませ、静かな上高地の森をゆっくり歩き出す。 明神に着いて小休止、隣のベンチで休憩されていたご夫婦と挨拶を交わすと、遠路札幌から来られたという。(尾崎さんご夫妻)  初めての穂高連峰で、涸沢から奥穂を目指すそうである。 ご夫妻とは、横尾でまたご一緒になったが、我々は槍沢に入るため、お互いの安全を祈願しここでお別れする。


7/22 雨の槍沢を登る

大曲 (〜2:00)
 槍沢ロッジに一泊、翌日雨の中を梓川沿いに槍沢を登る。 
ババ平のテント場付近には、ニッコウキスゲなど高山の花が咲き始めている。
清流の音を聞きながら川沿いの登山道を登っていくと、やがて雪渓の末尾が見えてくる。雪渓の下からは梓川の源流である雪解け水が大量に流れ出ていた。
 雪渓から上はガスが出て視界は更に悪くなった。 このガスでは、槍沢の雪渓越しに臨む精悍な槍ヶ岳の姿は期待できそうもない。
天狗原分岐 (〜1:20)
 更に槍沢を登って行くと雪渓に出る。 アイゼンを付ける程ではないが急傾斜の為慎重に登る。
この辺りからナナカマドが出てくる。 今は白い可憐な花を付けているが、秋になると真っ赤な実を結び紅葉の主役になるはずだ。
 やがて天狗原への分岐地点に到着。 
ここから雪渓越しに、天狗原から流れ落ちてくる大きな滝・ツバメ岩などが岸の中腹に見えるはずだが、残念ながらガスで霞んで見ることができない。
 ここから登山道は急勾配の本格的な山登りになるので、小休止して呼吸を整える。
播隆の岩屋 (〜1:30)
 天狗原分岐から東尾根の沿いに急勾配の登山道が続く。
途中で何度か小休止しながら登る。 最後の水場を過ぎ雪渓を横切ると、グリーンバンドと呼ばれるハイマツ帯にでて視界が広がる。 雪渓とハイマツの緑のコントラストが綺麗だ。 そしてガレ場を少し登ったところに播隆窟がある。 ここは槍ヶ岳を開山した播流上人が修業した岩屋で、山小屋ができるまでは唯一雨風を凌げる場所だったのだろう。
 途中から雨もすっかり上がり薄日も差してきた。槍ヶ岳が薄くなったガスの中に姿を見せた。 一緒に登っていた登山者からどよめきが漏れる。 ガスで景観が見えない中、数時間苦しい登りを続けていただけに、初めて姿を見せた「槍」に感動しない人はいないだろう・・。
稜線に到着(槍ヶ岳山荘)
 最後の雪渓を越え殺生小屋分岐の道標を見ながら岩場を登っていくと、小さな雪渓がありその脇にお花畑が見える。 お花畑は黄色と白の可憐な花で埋め尽くされていた。 しかし登山堂の傾斜はここから更に厳しくなる。 槍の肩への急傾斜が始まるここからがこのルートで一番苦しい所だ。喘ぎながらジグザグの登山道を登るが、息が切れ足が上がらなくなるのを、何とか止まらないように登り続ける。 苦しくなると靴一足分が一歩、しかも一歩踏み出すのにそうとう時間がかかる。
 何とか稜線付近に達し、登って来た槍沢を顧見すると、改めて3000mの高度感を実感する。 ・・よく頑張ったと褒めたくなるような達成感を感じる瞬間だ。

 稜線に到達する頃には天気は回復し、雲海の上は素晴らしい眺望が広がっていた。 宿泊の手続きを済ませ夕食までの間、北アルプス中央部の景観を楽しむ。槍の山頂へは、蟻の行列のように多くの登山者が取り付いているため、今日の登頂は諦め明日早朝に登頂するこにする。
 稜線には、まだガスが残っていて全貌は望めなっかったが、カメラを持って動き回り、夕暮れのシャッターチャンスを撮影した。
 日没直前にはブロッケンも現われ、播流上人が槍の山頂から初めて見た時の驚きと感動に想像を廻らせた。

 
7/23 ご来光
 翌朝、”晴れている”という話し声で飛び起き、カメラを担いで稜線に飛び出す。 東の空が焼けはじめ、常念岳・東鎌尾根・西鎌尾根から双六・笠ケ岳・遥か遠くに立山・剣岳など、北アルプスの名峰が雲海に浮んでいた。
 暫くすると、雲の壁を透かして太陽が昇ってきて、雲海の上に顔を出した。・・久しぶりに見る綺麗な日の出だった。
 朝飯を済ませ槍を見ると下山者が一段落したようなので、早速山頂にアタックする。 垂直に近い岸壁を鎖と梯子を伝って登ると、3畳ほどの山頂からは360°の展望が開けていた。失敗だったのは、サブザックを忘れたためカメラをロッジにおいて来たことだ。しかし運良く山頂でお逢いした熊本から来られたという野口さんに、記念写真を撮影して戴いた。・・野口さん、ありがとうございました!

オダマキ
上高地へ下山

 帰路は天狗原経由で下山する予定だったが、今年は残雪が多く天狗原の池はまだ雪の下とのことだったので槍沢をピストンすることにした。 
 今日は22kmを一気に上高地まで下りる予定だが、少し時間に余裕ができたので、咲きはじめたばかりの高山の花をカメラに収めながら下山にかかる。
 登りは雨で見晴らしが悪かったが、今日は最高の天気で景色や高山の花などを撮影しながら快適に下山した。 

 上高地までの22kmは長かったが、久々に充実感ある山行だった。

播流窟

 残雪とナナカマド