2006年09月02-03日
南アルプス 鳳凰三山 雲上散歩
地蔵岳(オベリスク)

       写真は
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 今年の夏山の締め括りに、1泊2日で鳳凰三山を縦走してきました。
今年の夏は天気に恵まれず、気に入った写真が撮れなくてず欲求不満気味でしたが、今回は2日間天気に恵まれて爽快な夏山縦走を楽しめました。
 初日はドンドコ沢にある滝を全て回り写真を撮影してきたので、鳳凰小屋に着いてテントを設営したのは陽が落ちた後になってしまいました。



行程(車)
 相模湖IC(6:00)→中央自動車道→韮崎IC →青木鉱泉(8:40)
 青木鉱泉(18:30)韮崎いC→中央自動車道→自宅
(23:00) 

 
 【コースデーター(参考)】 
ドンドコ沢コース 到着/出発 標 高
青木鉱泉  9:10 1,107m
精進ケ滝 11:45/13:00 1,466m
白糸ノ滝 14:10/14:20 1,942m
五色ケ滝 15:15/16:20 2,250m
鳳凰小屋 17:45 2,382m
        
2日目(中道) 到着/出発 標 高
鳳凰小屋 5:50 2,382m
地蔵岳 6:20/7:30 2,764m
観音岳 9:40/10:30 2,840m
薬師岳 11:40/12:20 2,780m
青木鉱泉 16:50 1,107m


青木鉱泉

 韮崎から鳳凰三山に登るには三つのルートがある。 
燕頭山ルート」 御座石鉱泉から燕頭山を経由し鳳凰小屋・地蔵岳へ登るルートで、ここが距離・時間とも最短ルートのようだ。
ドンドコ沢ルート」 青木鉱泉からドンドコ沢を登り鳳凰小屋〜地蔵岳へ登るルートで、途中にある三つの大きな滝を見ることができるガ、登山道は歩きにくくきついという。
 三つ目は「中道ルート」で、青木鉱泉から中道を辿り薬師岳に登るルートで、距離は一番長いが登山道は比較的歩きやすいようである。
今回は鳳凰小屋でテント泊の予定のため、初日の時間はタップリあることから、滝の写真を撮りながらドンドコ沢を登り、二日目に三山を縦走して薬師岳から中道ルートで下山することにした。


精進ケ滝

(1日目)
 青木鉱泉に840に到着。 
既に20台ほどが駐車しており隅の空いていたスペースに車を停める。鉱泉に駐車を願いして910に出発。

 沢に沿って林道を歩き始めると、沢の川音が聞こえ目指す鳳凰三山の空は青く澄み切っている。 やがて登山道は、沢の北側斜面の林の中に入り、鬱蒼とした林の中を登っていく。

【精進ケ滝 1,466m】 
 いくつかの小さな沢を横切り標高を上げていくと、最初の滝である精進ゲ滝の案内がある分岐に着く。 ここにはベンチもあり休憩している人もいたが、そのまま左の道を下り精進ケ滝まで行ってみる。 5分ほど下り沢筋に出ると、”ゴー!”という滝の音が聞こえるが滝の姿はみえない。 ザックをそこに置いて大きな岩をよじ登ると正面に精進ケ滝が姿を現した。
渓谷にマイナスイオンが充満しているせいか空気が旨く爽快な気分だ。
 ここで写真を撮りしばらく休憩するが、限られたスペースに人が多かったため昼食は後にする。 


ドンドコ沢の蓮華升麻(クリックで拡大)
 もう一度分岐まで戻り、林の中のドンドコ沢登山道を登る。
急傾斜が益々キツクなり、大きな石と倒木を乗り越えながらの登坂だ。時には両手両足を全て使わなくてはいけないような箇所もいくつかあり、噂に違わぬ悪路である。

【可憐な蓮華升麻】 
木漏れ日が差しこむ林の中は、緑が目に沁みいるように美しい。
標高1500mを越えたあたりで、林の中に可憐なレンゲショウマを見つけた。季節的にはもう終わりに近いのだが、まだ蕾も残っている。 痛んでいない花を見つけて写真を撮ったが・・なかなかいい感じだ。
 30分ほど登ったところで大きめの沢を渡る場所に出る。この沢は、視界が開け清流が流れていてお昼を食べるには絶好の場所だった。 お湯を沸かしている間に、汗で濡れヒートアップした体を、沢の冷たい水で絞ったタオルで拭く・・生き返ったような気分である。

五色ケ滝
【五色ケ滝 2,250m】
 ゆっくりと休憩し、林の中の急坂を登っていくと、ドンドコ沢では最も上部にある「五色ケ滝」の分岐に出る。 ここにはベンチもあり休憩している人達もいる。、また数人分のザックが置いてあるところをみると、ここにザックをデポし滝まで往復してくるつもりだろう。
 滝までは一旦沢まで下り、沢沿いに10分ほど上っていく。 瀑布の轟音が大きくなってくると細い沢が開け、正面に大きな断崖が現れる。 見や感じでは100m以上もあるだろうか・・二段に分かれた壮大な五色ケ滝が姿をみせる。  この滝は、いくつかある滝の中でも最も雄大な滝だ!・・この沢を通る際、この滝だけは是非立ち寄ることをお勧めする。
 この滝で一緒になった、私の家からも近い相模原から来たという若者二人と意気投合し写真を撮影する。・・・気がつけば、もう既に4時を回っている。明るいうちに鳳凰小屋に着かなくては・・・と、この滝を後にする

鳳凰小屋の朝

【鳳凰小屋】
 滝から右上るルートがあったが、不案内のため登って来たルートを下り登山道まで戻る。 後から聞くと、あのルートを登れば30分ほど短縮できたようだが・・・仕方が無い。
 歩きにくい急坂をハイペースで登りきると、登山道は広い河原を遡る道になる。
正面には、夕日の中に地蔵岳がシルエットを浮かべている。河原道を40分ほど歩いていくうちに辺りはすっかり暗くなってきた。そして林の中に山小屋の灯がチラチラみえてくる。・・鳳凰小屋である。
 滝巡りに時間をかけ過ぎて遅くなったが何とか6時前に到着できた。 早速テント場の申し込みをして設営にかかるが、周りはもう食事がはじまっていてお酒で盛り上がっているグループもいる。 翌朝は4時起きののため、食事を手早く済ませ寝酒を飲んで早めに寝たのだが、夜中に隣のテントから聞こえてくる大きなイビキで起こされてしまった。
・・・病的な凄いイビキで、テント泊に人は殆どが起こされてしまったようで、ブツブツ文句を言っている声が周りから聞こえてくる。 
 結局・・朝までイビキはなりやまず、睡眠不足のままテントを撤収した。
雲上に甲斐駒、地蔵岳鞍部の賽の河原より
(2日目)
【地蔵岳 2,764m】
 天気は快晴、東の空が明るくなり彩雲が輝きだした。
昨日は暗くなってから到着してわからなかったのだが、小屋の周りには見事なヤナギランが群生している。小屋の人たちが心をこめて保護しているようだ。
 6時前、地蔵岳を目指し出発する。 林の中をしばらく昇ると、白い花崗岩の砂礫の急勾配にでる。 ここからは滑りやすい砂礫をジズザクに登っていく。
この白い砂礫が下界から見ると雪渓のようにみえる。その最上部にはオべりクスが朝日に浮かび上がっている。  稜線にでると、その向こうには甲斐駒ケ岳の険阻な峰が雲海に浮かんでいて、その遥か向こうには、北アルプスの槍・穂高、八ヶ岳の赤岳などの3000m級の峰が姿をみせている。・・・このところ天気に恵まれず、雄大な展望にはお目にかかれなかっただけに、感動もひとしおである。
 

北岳
 雄大な景観を楽しみながらここで朝食をとり雲上の稜線散歩に出発する。
地蔵岳の鞍部に下ると、ここが賽の河原か・・子授け仏で有名な沢山のお地蔵様が置かれている。  そこを通過し一気にアカヌケ沢の頭まで登ると、正面には北岳と続く稜線が雄大な姿を現す。 左手には観音岳へと続く稜線が雲上に浮かび、その彼方にはブルーの富士まで姿を見せている。

 アカヌケの頭から観音岳へ向かう
一旦、鞍部に下りそこから急坂を登り返すのだがその登りが結構きつい。 汗をかきながらようやく稜線に出ると、目の前の深い谷の向こうに北岳が全容を見せてくれる。 バットレスの険しい岩肌も、夏の緑のせいか比較的穏やかに見える。

観音岳
 観音岳の山頂まではもう少し歩かなくてはいけない。
左後方に地蔵岳、右手に白根三山を見ながら歩く稜線は素晴らしい。
まさに”雲上の散歩道”、景色と気分は最高なのだが・・
昨日の寝不足が祟っているのか体調はいまいち・・・ペースがあがらない。

 

観音岳山頂からの阿弥陀岳・富士
観音岳の山頂(2840m)に到着
 
 山頂は360度の展望がある。 今歩いてきた地蔵岳方面、白根三山、次の目標である阿弥陀岳への稜線・・・素晴らしい展望が広がっている。富士山も、阿弥陀岳の向こうにポッカリ浮かんでいる。

 小休止後、阿弥陀への稜線に向かうが、途中にはタカネビランジなどの可憐な花が咲いている。 花を観察している方の話では、ここ鳳凰山独特の種も数多いそうである。
  

阿弥陀岳山頂付近(左の岩山が山頂)
 観音岳から阿弥陀岳への稜線はアップダウンも少なく比較的楽に歩ける。この頃になると、日差しが強くなり気をつけないと熱射病にかかりそうな状況だ。 汗が噴出して補給しながら歩くうちに水が残り少なくなってきた。 これでは後6時間歩くのには足りないので阿弥陀小屋まで行って補給するしかない。
 やがて阿弥陀岳の山頂に到着。
山頂は花崗岩の砂礫でハイマツとのコントラストが美しい。どうやら左に見える岩山が山頂のようで、大きな岩の上に男性が一人乗って弁当食べている。 強い日差しの中、時折ガスガその岩山を包み隠すように流れているが、とても気持ちよさそうだ。
 我々は阿弥陀岳を通過し、その先の鞍部にある阿弥陀小屋まで水の補給のため足を延ばす。 山頂から15分ほど下ると小さな山小屋があった。小屋の外にはベンチがあり、暑さでバテ気味の体を日陰で休めゆっくり昼食をとった。 

阿弥陀小屋
12:30分阿弥陀小屋を出発

 小屋から阿弥陀へ登り返し山頂から東の尾根道「中道コース」から青木鉱泉へ下る。 小屋で所要時間を聞くと・・”休憩なしで約4時間” かかるそうだ。
 岩山の脇の砂礫をしばらく下ると林の登山道は中へ入る。 木陰のなかに入ると風は無くなるが体は比較的楽だ。 登山道もドンドコ沢に比べると格段に歩きやすい。途中で2度ほど休憩し淡々と下っていくと林道にぶつかった。 ここまで来るともう少し、時計を見ると16:00
 痛くなってきた足に活をいれながら、沢を渡る近道を使いようやく青子鉱泉にたどり着いた。16:50

 青木鉱泉で風呂に入りサッパリして、中央で自宅に向かったが、この日は行楽客が多く小仏トンネルでの渋滞が20Kmにもなってしまった。
 家に着いたのは11時を回っていた   ・・・・あゝ疲れた!!