2006年07月15日
八ヶ岳の主峰 赤岳(2,899m)
赤岳と展望荘

    
 71516日、いつものマイカー登山で八ヶ岳連峰の最高峰「赤岳」へ向かう。この時期の八ヶ岳稜線はコマクサをはじめ様々な高山植物が咲き四季を通じ最も見処が多い季節である。 今回はそのコマクサなど高山植物の写真撮影が楽しみだったのだが、15日の午後から天気が崩れて雨風となり写真撮影どころではなくなってしまった。

【行程】
中央道相模湖IC(500)→小淵沢IC(620)→美濃戸(700 

 
写真は スライドショーでご覧下さい

【データー(参考)】
到着/出発 標 高
美濃戸山荘 8:00 1,690m
行者小屋 11:30/12:30 2,354m
赤岳展望荘 14:00 2,750m
赤岳 山頂 8:00→8:40 2,898m
赤岳鉱泉 14:00 2,210m
 途中写真撮影などのタイムロスが多いので・・参考程度に 


美濃戸より赤岳を望(8;00)


シロバナヘビイチゴ

 八ケ岳連峰の成り立ちは、その名前からも分かる様に、八つの峰を持つ山と言われ、赤岳、天狗岳、権現岳、横岳、硫黄岳、阿弥陀岳、網笠山、西山を指す。その八ヶ岳連峰の最高峰である赤岳は標高2899mを誇り、その名前の由来は岩の色が赤いことからきたと言われている。 
 また、富士山に次ぐ広大な裾野を持つ八ヶ岳はには、数多くの植物が生息し、低山帯には、アカマツ、カラマツなどの針葉樹、クリ、シラカバなどの落葉樹、キキョウ、ゲンノショウコ、オミナエシなどの草木がみられ、高山帯にはコケモモ、ゴゼンタチバナ、イワカガミなどの珍しい高山植物が豊富で、特にコマクサ、ヤツガタケキンポウゲ、クロユリ、ヒナリンドウなどが有名である。 今回はコマクサなどの高山植物が咲く時期を狙って来たのだが、どうも長引く梅雨の影響で午後から天気は崩れそうだった。

1日目)
 中央高速道路を快調に走り、小淵沢ICで降りて美濃戸に向かう。 途中の八ヶ岳横断道路を走るとバックミラーに富士の姿がクッキリと見えている。
美濃戸口で登山計画書を提出し林道を更に車で進み美濃戸まで入る。
美濃戸口までタクシーで来た人達か?・・大勢の人が林道を歩いている。登山者に注意しながらゆっくり坂道を登っていくと、やがて美濃戸に到着する。

 空いている駐車場に駐車し忘れ物が無いようしっかり身支度をする。 ここまで来ると夏の爽やかな高原の風が吹いていて、木々の緑が美しい。 赤岳方面を望むとガスが出始めてはいるが雲は高くまだ山頂が見えている。 
・・今日一日この状態でいてくれるよう祈りつつ出発。

ゴゼンタチバナ
●南沢を登る

 まずは、南沢ルートで行者小屋を目指す。 
南沢に沿って登り始めるが、先行者がいるためマイペースで歩くのが難しい。 
少し間隔をあけるのだがすぐ追いついてしまうため途中で何度も追い越そうとするのだが、気がつかない振りをしているのか・・なかなか道を譲ってくれくれない。 
少しイライラしながらしばらく後を突いていくが、追い越せるような場所が無い!
 ・・仕方なく登山道の脇に咲いている花の写真などを撮り時間を調整する。 鬱蒼とした林の中には、白いヘビイチゴの花が咲いている。 少し日当たりの良いところには、白い花が群生しているところもあり、まるでお花畑の様だ。 高度が上がるにつれゴゼンタチバナやオサバグサが白い可憐な花をつけていた。 
         

開けて広くなった河原道
 鬱蒼とした谷間の道を川に沿って2時間ほど登ると、いつの間にか沢の水が無くなり周囲が開けてくる。 この辺は中山を巻ききったあたりと思われる。 暗い沢道から広く平坦な河原に急に開けたので自然に気分も明るくなる。
 若い男女二人が下って来たので笑顔で挨拶を交わすと、今朝2時から暗い山道を登って赤岳山頂で朝の景色を満喫してきたようだ。
 「梅雨の晴れ間で、最高でした!」と、興奮気味に話してくれた。
おまけに「ブロッケンも見られたし、きれいな彩雲も出たんですよ!」と、パートナーの女性も眼を輝かせていた。

 街中では、見ず知らずの人となかなか会話などできないのだが、何の抵抗もなく話しかけられるのも山のいいところである。
 しかし、行く先を見上げると朝方クッキリ見えていた赤岳の頂には早くもガスがかかり始めている。 ”早起きは三文の徳”と言うが、まさにそのとおりである・・・。
 
行者小屋と地蔵尾根方面       文三郎尾根
●行者小屋

 10:30 行者後谷到着、ここまで丁度2時間半かかった。
今日は展望荘泊まりの予定なので、ゆっくり休んで行くことにする。小屋の前のベンチは休憩の人で満杯だ。 中にはこの時間からビールを開けて野外パーティを始めているグループもあり、とても賑やかである。
 広場の脇にある水場は無料で利用でき、この水が冷たくたまらなく美味い。 一息いれている間に出発した人の席を急いで確保し、我々もここで昼食にする。 美味しい水を沸かしてつくったカップラーメンとオニギリなどで結構豪華である。
 テント場の方向を見ると文三郎尾根が見える。 きつい登りの階段が続く尾根を、休みながら登っている登山者の姿がはっきり見える。 しかし赤岳山頂は濃いガスで包まれてしまっている。
 我々も文三郎から赤岳に登り、赤岳展望荘に下る計画をしてのだが、山頂が荒れ模様のため明日に期待することにして、今日は地蔵尾根から登ることに変更。
  

横岳の稜線 (ガスの合間に大同心が見える)
●地蔵尾根を登る

 12:30 行者小屋を出発し小屋の右手から地蔵尾根へ向かう。
鬱蒼とした林の中の登山道をしばらく進むと勾配が徐々にきつくなり、左手の沢越しに横岳の稜線から大同心・小同心がガスの切れ間から見えてくる。 登山道はこの辺から角度を増してくる。 霧が出ると雨も降り始めて足元が滑る、しかも登りはますますきつくなり息もあがってきた。・・・文三郎尾根の長い階段を敬遠したのだが、地蔵尾根も大して変わらないじゃないか・・!!
 しばらく我慢して急勾配を登っていくと霧が晴れて明るくなってきた。 目の前には赤い岩場が迫ってくる。

 ・・いよいよ ここから長い鎖場が始まる。
                

地蔵尾根から赤岳
 鎖と梯子を登っていくと途中で諏訪方面の展望が素晴らしい場所に出る。
丁度雲の合間から明るい陽が差してきて八ヶ岳の広大な裾野に陰影ができ見事な景観だ。 右を見ると赤岳の山頂は雲の中にスッポリ包まれていて、その雲の動きが異常に早く天気は荒れそうな気配だ。

 ここで小休止し数枚写真を撮る。
 地蔵まではあと150m位の高度差か・・鎖がある急な登りが待っている。

横岳山頂は雲の中
●お地蔵さんは霧の中

 最後の急坂を慎重に登っていくと、稜線はすでにスッポリ霧の中に包まれている。
霧に包まれた稜線の標識の脇で、赤い頭巾を被った可愛いお地蔵さんが迎えてくれた。
 この辺りの稜線は鞍部のためか、谷から吹き上げてくる雨混じりの霧と風は下から見た以上に強い。  
前方の赤岳へ続く稜線も濃いガスで見え隠れしている。(Topの写真) 
反対の横岳方面は、黒い雲のため山頂が見えなくなってしまった。 先程までの天気が嘘のようだ。 時折降ってくる雨で全身がしっとりと濡れてきたが、ここから展望荘まではもう直ぐ、このまま一気に滑り込んでしまおう。

赤岳展望荘に到着
●14:00 展望荘到着

 尾根道をしばらく歩くと展望荘が見えてくる。 雨風は更に強くなり寒さも感じてくる。展望荘の後ろのある赤岳も濃い雲にスッポリ覆われて全く見えない。

 小屋で受付を済ませ状況を聞くと、小屋の責任者の方が ”この雨と霧では行く価値はないでしょう・・それより今日は風呂に入ってゆっくりしていた方が利口ですヨ!”とのこと・・・ エッ何? 風呂? ・・山小屋に風呂がある!?
 それなら、この雨では写真も取れないし・・風呂に入って山小屋でゆっくりするか!! ・・ということになり早速お風呂に入りビールで乾杯。
 岡山から来たという同年輩の人と意気投合して盛り上がったが、この頃になると小屋の窓を打つ雨がますます強くなり、続々と登山者が逃げ込んで来る。
・・・やはり行かなくて正解だった。

赤岳山頂は嵐のようだった
●強風で山小屋が揺れた!

 ローテーションで食事を済ませ早めに寝てしまう。 
夜中に風の音で目が覚めた。時折相当強い風が吹きあげきて、山小屋がミシミシ地震の様に揺れている。・・・まさか小屋が飛ばされることはないと思うが・・揺れが気になって、しっかり眠れないまま朝になっってしまった。

(2日目)
 外の様子を見ると、霧と強い雨で視界は20mもない。 しかも西側の谷から吹き上げてくる風はかなり強そうだ。 そんな外の様子を見ながら朝食をとる。バイキング形式で、山小屋の朝食としてはかなり贅沢である。

赤岳山頂(風雨で写真どころではない!)
 この天気では急ぐ必要もないため、同席の人達と話をしながらの朝食である。 
・・・出立する人たちの話しを聞いていると・・・小屋の責任者の方の勧めで、赤岳山頂へ登るのはあきらめて下る人が多いようだ。 
 我々は天気の様子を見ながら山頂を目指すことにしたが、この風では山頂から文三郎尾根までの岩場は危険とのことで、山頂までを往復して登って来た地蔵尾根を下ることにした。

●赤岳山頂へ
 9:00 ザックを展望荘に預かってもらい身軽な格好で出発する。
鎖場に取り付いて登っていくのだが、稜線の先端部では時折吹き飛ばされそうな強い風が谷から吹き上げてきて、岩陰により暴風姿勢をとって様子をみなくてはならない程だ。 また、下から吹き上げてくる風でヤッケの裾から雨が入ってくる! 厳重に裾を締め直して登るが、下から吹き付ける雨は顔を強く打って痛いほどだ。 
 30分程で山頂小屋に到着、人影は無し。 三角点へ続くやせ尾根はガス霞んで見えず、暴風のような風が吹いている。 ヘリポートの展望台も風が強くて立っていられないような状態のため、ひとまず小屋の中に入らせて頂きしばし休憩させてもらう。
 風雨が弱まるのを待ちやせ尾根を三角点のある山頂に渡り証拠写真を撮る。
こんな天気のため撮影は「使い捨てカメラ」だが・・・構えている間に風雨でレンズがビッショ濡れになってしまった。・・・まともな写真が撮れているか心配だ。
 山頂に若い男性が一人で登って来た・・・どうやら権現から縦走してきた様子だ。大きなザックでここまで来たが・・下の岩場付近では風が強くて、とても怖かったと言っていた。   
 展望どころではなかったが、ピークを踏んだということだけで満足し、赤岳展望荘まで下る。
 途中の鎖場まで降りると、数人のグループが登って来た。 皆慎重に登ってくるので上で相当待たされてしまう、・・・やがて展望荘に到着、このあたりでも風は吹いているものの山頂の風と比べるとパンチ力は弱く、肩から力が抜ける。
・・・・小屋に戻り、とっておいた「マイカップ」で無料の熱いコーヒーを頂き一休みだ!

●展望荘で一時間ほど休憩してから下山
 下山する前にコマクサなど花の写真を撮りたいのだが、風と雨は止みそうにない。 仕方なく展望荘の周辺で数枚撮影したが、花は強い風で震えているし、霧の中で薄暗いためシャッター速度は上がらない。 おまけに下から吹き上げる雨風で、すぐにレンズに水滴がついてしまう始末・・・最悪!!
・・・こうなれば・・もう後は下るだけだ・・  

昨夜からの雨でできた滝           赤岳鉱泉     
 地蔵尾根を下る途中、鎖場を過ぎ田あたりで変わった風景に出会う。
ナント!、昨日は無かったとことに滝ができているではないか!! 昨夜から降った雨水が纏まり、岩の合間から噴出しているのだ。 

10:30 行者小屋到着
 ここから美濃戸までは、来るときと反対の北コースをとる。赤岳鉱泉で昼食をとり、淡々と北ルートを下るが、こちらのルートの方が距離は少し長いようだ。
 黙々と1時間ほど苦だった。この辺まで来ると風は無く雨もあがってきた。 堰堤を過ぎるとやがて車が通れる広い林道に出る。 この林道を30分ほど下ったとことが美濃戸である (到着15:00)

 駐車場で愛車が待っていた。
雨と汗で濡れたシャツを着替え、冷たい水で搾ったタオルで体を拭くと生き返った様な爽快な気分だ。

次は、秋の紅葉の時期かな・・・今度は天気に恵まれることを祈りたい!