2005年06月4-5日
北アルプス 西穂高岳(2,908m)
 西穂丸山より
    
 
登山好きの方の憧れである穂高連峰、その西端に位置するのが西穂高岳である。昔は上高地からのルートが中心だったが、平成9年に安岐阜県側に新穂高ロープウエイができたことにより一般の登山者でも比較的簡単に穂高連峰の岩峰縦走が楽しめるようになったのは嬉しい限りである。

登山口までの行程】
中央高速相模原IC(9:30)→松本IC(11:30)→国道158号→島々〜房峠道路〜新穂高温泉駅(13:00)⇒新穂高ロープウェー西穂高口2150m(14:00)

 
写真は スライドショーでご覧下さい

【データー(参考)】
到着/出発 標 高
ロプウェイ西穂口 - 2150m
西穂山荘 7:30 2,354m
丸山
7:50 2,452m
西穂独標 9:00/9:30 2,701m
西穂山頂 11:00 2,908m
 


新穂高温泉 蒲田川の清流

1日目)

今回もいつものように車での山行となり、相模原を朝900に出発、中央高速を快適にドライブして松本ICで降り、梓川に沿って国道158号線を上高地方面に登る。 梓川は新緑で眩しいくらいに輝き、島々付近の河原にはアカシアの花が満開で、甘いカオリが車の中まで漂ってくる。
 交通規制が行われている上高地の入り口である釜トンネルの手前を左折するとやがて有料道路に入る。昔はジグザク道の峠越えの難所だったのがこの有料トンネルができたおかげで、あっという間に反対側の平湯に着いてしまう。

 ここで丁度お昼の時間となったので、平湯のバスターミナルに車を止め昼食にする。 これから西穂山荘まで登るため軽い食事がいい。ターミナルの入り口にある蕎麦屋を発見、山菜ソバと饅頭一個で簡単に済ませ直に出発。 
 新緑の蒲田川に沿って登ると新穂高ロープウェイ駅に30分ほどで到着する。この新穂高温泉は湯量が豊富で途中の川沿いにはいくつかの露天風呂が湧き出している。地元の方の話では、井戸を掘ろうとしても水ではなく温泉が出てしまうほど湯が豊富であるとのこと・・・うらやましい限りである。 

 ロープウエイ駅の有料駐車場に車を止め山登りの準備をする。
いつも何か忘れ物をするので今回は慎重に確認しながら荷物を詰める。 今日は金曜のためかロープウェイ利用者は比較的少なく、待ち時間なく乗り込むことができた。 天気は薄曇だがまずまず、ゴンドラの高度が上がってくると飛騨山脈と主峰である笠ケ岳が残雪で覆われた雄大な姿を見せてくる。 しかし渓谷の反対側に位置する西穂高岳は中腹から上はガスで覆われ姿が見えない。 しらかば平でロープウエイを乗り継ぎ、やがて標高 2156mの西穂高口に到着、駅を出ると1mほどの残雪が残っており、ヒンヤリとした空気が気持ち良い。


ロープウェイ駅

西穂山荘に昨日電話したときには、“残雪があるがアイゼンはなくても大丈夫”とのことだったが、一応軽アイゼンをつける。 ここから標高2385mの西穂山荘を目指して登る、標高差は230m程だが一旦下ってから登り返すため数字以上の標高差を感じる。 
 杉林の中は雪が少し緩んでいるもののアイゼンが効いて比較的歩きやすい。 西穂高口から一旦下ると林の隙間から稜線に本日の目的地である西穂山荘が見える。その左手には独標からピラミッドそして西穂が見えるはずだが丸山付近から上はガスの中だ。 
 
 登り返してしばらくすると急な登りにぶつかる。 キックステップで簡易アイゼンを効かせながら登るが午後の陽気で緩んだ雪がここではかえって仇になる。 雪の急坂に苦戦しながらも一歩々高度を上げていくとやがてガスに包まれてしまった・・・どうやらガスがだいぶ下まで降りてきたようだ。 


 林をトラバースするようになると少し明るくなり、そこは稜線で西穂山荘の屋根が見えてくる。 
1430 山荘到着、入り口で汗を拭き一服する、この一服が実に美味い!この時間なら充分独標まで往復できるのだが、山荘から上はガスに覆われているので明日に期待する。 


朝焼けに染まり始めた笠ケ岳

前穂・明神からの日の出

(2日目)
前夜は時間もたっぷりとあり、美味い日本酒でゆっくり山小屋の雰囲気を味わうことができた。しかも宿泊客は我々の他に1名のみ・・・山荘を貸しきったような贅沢な感じでとてもゆっくり眠れた。
430 外が白々と明るくなる頃目が覚める。
 >窓を空けると高山独特の冷たい空気が入ってくる。まだ薄明かりだがどうやら今日は快晴のようだ。朝食は7時から・・昼の弁当も頼んである。 しかしそれまで待っていられそうもないので、支度をして写真を撮影に展望が開ける丸山まで登ってみることにする。 カメラだけを持ちアイゼンをつけて残雪の斜面を登る。 少し登り尾根道に出ると雪はなくなる。 大きな岩が折り重なるルートを15分ほど登ると独標に続くなだらかな尾根となり展望が一気に開ける。 やや広くなったところにケルンがありここが丸山である。

> 無風・快晴・・・・前穂と明神岳あたりから太陽が昇りはじめ空が明るくなってきた。
反対の笠ケ岳の残雪がピンクに染まっている。 やや霞んでいるものの素晴らしい景色だ!
 >右手には霞沢岳、六百山が浮かび、谷の底は手前の雪渓の影になり全容は見えないが上高地である。まだ薄明で眠っている森の中を、梓川の清流が流れているはずである。 
 左手には急峻な谷を挟んで残雪に覆われている笠ケ岳と飛騨山脈の山々がぼんやり浮かび上がっている。 そして後ろを振り返ると足下に西穂山荘の赤い屋根が見え、その向こうには焼岳、乗鞍が青い朝靄に浮かんでいる。
 夜明け直前の神秘的な景色を堪能しているうちに、前穂と明神岳との間が急に明るさを増してきた。・・・ご来光である。 どうやらこの場所からだと前穂と明神に邪魔をされて太陽が高く昇らないと陽が差してこないようだ。 周囲が明るくなると同時に高い山々の頂は朝日で染まり始めている。 写真を撮るにはこれからの数分が勝負だ。夢中でシャッターを切り30カットほど撮影、そのうちに我々がいる丸山にも朝日が当たってきた。 しばらくの間、素晴らしい北アルプスのパノラマに酔いしれる。 しかも今はこの稜線には我々以外誰もいない・・穂高連峰の西端部独占だ!
・・・これ以上の贅沢は滅多にできないだろう


西穂独標
 小屋に戻り食事を済ませ 730出発。
先ほど登ったルートを丸山まで登る。 そこからは比較的なだらかな尾根道で、つめていくと目の前を大きな岩峰が遮る、これが「西穂独標」である。 
 尾根道は険阻でガレ場が続いて悪くなるが、岩に書かれているルートを示すマークに注意して慎重に登るとやがて独標直下に辿り着く。 そして右の谷間にはここまで見えなかったカモシカ沢・岳
沢から上高地のこなし平まで続く広大なカールが広がっていて少し足がすくむ
・・改めてこの稜線の高度を感じさせる。 


 独標への登りは少しばかり注意が必用だ。岩にペイントされている○マークに従い慎重に登っていくと鎖が設置してある垂直の岩場に出る。 ここを這い上がったところが西穂独標である。
9ここからピラミッドのピークを通過し山頂を目指す。 稜線の岩場を辿るルートは悪場が続く。 特に山荘で注意された岩場は補修されているものの緩んでいる岩もあり少し危ない・・慎重に通過する。急なアップダウンを繰り返しいくつかのピークを越えていく。そして最後の長い急勾配を登りきったところが標高2908mの西穂ピークだ。(1100
 ここからの展望は素晴らしい、穂高連峰・飛騨山脈・焼岳から乗鞍まで一望でき遮るものは全くない。今日は無風・快晴でめったにない最高のコンディションだが、ここは「強風」と「雷」の名所でもあり、少し天気が崩れると避難場所もなく非常に危険なところでもある。


岳沢(前穂・明神)

 00 ゆっくり展望を満喫して下山にかかる。 
>下りは登り以上に神経を使う。 気を張り詰めて慎重に降りてくると独標の下あたりで今日一番のケーブルで登って来たと思われるグループとすれ違う。その後ろからも数人の登山者が登ってくるのが見える。
 >山荘をパスし、残雪の林の中を一気に下り 1500少し前に西穂高口に到着。ここで大休止してからロープウェイで下山する。

(温泉)
 売店のおばさんに聞くと、ロープウエイ駅のすぐ下にある大きな駐車場の脇に「無料の温泉」があった。 ここも源泉かけ流しで源泉の温度が高いため脇の水道から太いホースで水を入れ、適当な温度まで下げてから入るようにとのことだ。 どうやら利用者が少ないので、すぐに源泉の温度まで上がってしまうようだ。
 疲れた足を揉みほぐしながらゆっくり温泉に浸かってから、実家に向かった。