2005年08月11日
北アルプス 常念岳(2,861m)
写真:春の常念岳

 安曇野では、昔から常念坊の雪形が現れるのを待って田植えをしてきました。 この秀麗な山は安曇野の象徴であり人々の生活に密着した存在でもあります。 私も帰省する度、この山の姿が見えてくると "故郷に帰ってきたな!"・・という思いがします。 日本百名山にも選ばれています。

【行程・時間】
一の沢登山口(6:30)〜山ノ神〜胸突き八丁(8:40)〜最後の水場(10:20)〜常念小屋(11:20- 昼食-12:20)〜常念岳山頂(13:30)


【データー(参考)】
到着/出発 標 高
一ノ沢登山口 6:30 1,261m
胸突八丁 8:40/9:00 1,995m
常念乗越 11:20/12:20 2,456m
常念岳山頂 13:30/14:30 2,857m
一ノ沢登山口 19:30 1,261m


一ノ沢登山道 登山口

胸突き八丁下
白馬岳行きを取りやめ、「常念岳」

 白馬岳(特に大雪渓)では、このところ大雨とが降り続いていて地盤が緩んでいるとの忠告で急遽行き先を常念に変更し、地元の山に登ってきました。

一ノ沢登山口(6:30)
 常念岳への一般的な登山口である烏川渓谷に沿って一の沢林道をマイカーで終点まで行くと標高1300mの一の沢登山口に着く。 登山口からやや下ったところに一般の無料駐車場がありそこに駐車、登山案内所に入山カードを提出し、森林の中の登山道を歩き始める。

山の神〜胸突八丁(8:40)
 森林の中を少し歩くと、大きなトチの木の下に小さな祠がある。ここが「山ノ神」である。 よく見ると・・祠の傍らに誰が書いたものか名歌が一首
        
” いま彼女、十年後には山ノ神 ”

 しばらく歩くと登山道は森林の中から烏川の清流に沿って登り始める。
王滝ベンチを過ぎ笠原まで登ると常念乗越が望める。そこから更に登っていくと胸突八丁(写真)に着く。 このあたりには7月まで雪渓が残っており、雪渓の下の清流にはサンショウウオの姿も見られるとか・・。 ここからは、右の急斜面を一旦登り、山野草が咲く絶壁のお花畑の中腹斜面を横切っていく。  実は、数日前この斜面で滑落事故があり、女性がなくなったそうだ。足元に集中して慎重に通過する。 山の雑草は茎の中の粘液が強いため登山靴で谷側の草の上に載ると非常に危険である。
・・皆さんも注意して欲しい。 
(途中お花畑で写真を撮影するが、足場には特別の注意をはらい撮影した)

 このルートはアルプスの清流に沿って登るため水に困ることは無い。休憩の度に烏川の天然水で喉を潤すことができるし、沢を駆け上がってくる風は爽快だし夏場には可憐な花が咲きほこる贅沢なルートだ。

常念乗越(常念小屋)
最後の水場〜常念乗越(11:20着)

 胸突八丁を通過すると反対側の急斜面へ沢を渡る。 ここが「最後の水場」である。 ここで水を補給し急斜面に取り掛かる。 常念小屋がある常念乗越まであと2km、途中第二ベンチで一息入れ最後のキツイ登りを一歩一歩登る。 しばらく登ると急に視界が開け天井をつくようにそびえる常念岳が目に飛び込んでくる。ここは横通岳との鞍部、標高2450m ”風も・鳥も乗り越すところ”・・と言われる「常念乗越」に出る。
 正面には、穂高〜槍ヶ岳を望む大パノラマが展開する。・・はずだったがこの日はガスで薄っすらと見え隠れしている。 しかし、冷たい風が火照った体に心地良い・・最高の気分だ!  テント場の向こうにのシラビソの木立の中に赤い屋根の「常念小屋」が立っている。 少し早いが、ここでお昼にする。 小屋の前にあるベンチに陣取り穂高連峰の大パノラマと、常念岳のガレ場を急登している人達を見ながら、持参したオニギリを食べる。

白馬で崩落事故のニュース!
 その後、記念のバッヂを買うため常念小屋に入ると、TVでニュースを放映していて「白馬岳の雪渓で土砂崩落が発生、数人が行方不明!」とのこと。 当初の計画では、白馬の雪渓登りだったのだが、地元の人の「
今年の夏は雨が多くて雪渓は危ない!」という忠告で計画をこの常念に変更していたので、受けたショックは大きかった。
・・・何とか、無事であることを祈る

八合目付近、後ろは横通岳の稜線
常念山頂へ

 一時間ほど大休止し、常念岳の頂上を目指す。
常念小屋泊まりの人は、ザックを小屋に置き軽装で登っているが、我々は三脚やカメラの入った重いザックを担いで登坂することにする。
 常念乗越からの標高差411m、時間にして約1時間ほどだが、大きな岩ばかりのガレ場は相当きつい。 ルートを間違えると危険なため岩に書かれている赤ペンキの”○”印を確認しながら登る。 
 下から見上げると山頂に見えるところが八合目、山頂はそこから更に奥に上り詰めたところにある。 ここまで登ると先ほどの常念小屋が足元に見える。 その向こうには横通岳と大天井岳から表銀座へと続く稜線が雄大な姿を見せる。

山頂に祭られている常念坊の祠
常念岳山頂

 やがて登山道は三又から前常念経由のルートと合流する。 ここから、少し登ったところが、常念坊の祠がある山頂である。
 山頂は、大きな岩が重なり合っており限られたスペースしかない。
ここにはすでに5〜6人の先行者が岩に腰を下ろしていたが、我々が到着すると、数人の方が場所を譲ってくれた。

ここで写真を撮り、暫く360度の雄大なパノラマを満喫する。
高山植物を撮影し下山
 もっとゆっくりしたかったが、後続の人達のために早めに場所を空け下山する。 同じルートを辿り常念乗越まで降りると天気が怪しくなってきた。 足を急がせお目当のコマクサを探しに横通岳方面に少し歩くと・・そこでコマクサの群生を発見。
 今はコマクサも最後の時期で、とてもマクロレンズでのクローズアップに耐える状況ではなかったが・・数枚の写真を撮影。

天気が急変
 本格的な雨に備えてカメラをザックにしまい込む。ゆっくり写真を撮っていたので、既に16:30を回っている。 下山には乾いた道でも3時間以上かかるためここでしっかり支度をして一気に下山することにする。

途中で豪雨に
 途中休憩なしで、胸突八丁を通過し笠原まで一気に降りる。 ここから後一時間半位というところで雨が激しくなってきた。しかも、ここからは鬱蒼とした森の中を歩くためライトを点けないと足元が見えない。
 特に気をつけなくてはいけないのは雨に濡れた石だ。 山の石はコケがついているため濡れると予想以上に滑る。 数回滑ってバランスを崩しながらもストックでフォローし道を急ぐ。 
 王滝を過ぎる頃には真っ暗闇になり滝のような雨になってきた。
 19:30 何とか一ノ沢登山口に停めた車まで辿り着いた。